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2010年11月 5日 (金)

なんでもないようだけれど (帰省の記録②)

多治見の街を出た私たちが次に向かったのは、愛知県犬山市。そこへ行くには、ひと山、ふた山、越えていかなければならない。都会では電車と徒歩が中心の生活であり、こうして車に乗るのは久しぶり。窓からは気持ちよく風が吹き込み、山道のカーブで車が傾いたり揺れたりするのがなんとも心地よい。

いつの間にか周りが見渡せる広々とした田んぼの風景に変わり、さらに犬山市の中心部へと車を走らせていく。細い道に入りこみ、到着したところは小さな和食のお店。食べることが好きな姉おすすめのお店である。ただしメニューは強制で、日替わり定食一種類のみ。嬉しいことに、その日は姉も私も大好物の「チキン照り焼き」だった。店内はカウンター席がいくつかと、家庭の食卓のようなテーブル席が4つ。私たちはカウンター席に並んですわる。にこやかな女性が迎えてくださり、あっという間に料理が運ばれてきた。

チキン照り焼きに、レタスとブロッコリーが添えられた一皿。ごはん。豆腐のかきたま汁。切干大根煮。お茶。やわらかくてでも歯ごたえのあるチキンは、あっさりとしてやさしい味。かきたま汁も切干大根も、心にまでしみわたるような、ほっとした気持ちにさせてくれる味だった。なんでもない家庭料理のように見せかけておきながら、実はこれはとてつもなくすごい料理なのではないか。こんなふうにいつでも人をあたたかい気持ちにさせるような料理をつくることは、並みの技ではないはず、ということを、姉の話を聞いて私は実感したのだった。

姉は何度かこの店で食事をしている。おでんにサバの塩焼き、鮭チャーハン、だし巻きたまご、などなど。一番最初に食べたのはおでんだそうだ。姉は、メニューを見たとき「なーんだ・・・おでんか」と地味なメニューにちょっぴりがっかりしたが、食べてみてその味に感動! 見た目はなんということもない平凡な姿でも、実はただものではなかった。いつでも揺るがないしっかりとした同じ味が出せるのは、それこそ土台がしっかりとあるプロだからこそ。私から見れば姉は料理がとても上手に思えるが、姉はどうやら、自分の料理の味が気まぐれであることに満足していないようである。

「そうそう、鶏むね肉が安くてよく買うんだけど、調理法がわからずいつも親子丼ばかりになっちゃうんだよ」と姉に話したら、それなら「鶏ハム」がおすすめよ! と教えてくれた。砂糖と塩コショウをまぶして1,2日つけこみ、その後水に入れて塩抜き、茹でてそのまま汁の中で冷ませば出来上がりなんだそうだ。「おお! 私にも出来そう!」

そんな話をしながらのんびりと食事を楽しんでいる私たちのそばで、カウンター越しにすわる一人の常連客が店員さんとのおしゃべりを楽しんでいる。このお店では、みんなが、おいしいお食事を味わいながらゆるゆるとしたくつろいだひとときを過ごしている。

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コメント

こちらの日記、ずっと前に読んで、ずーっとコメントしたかったのだけど、やっとコメントします!(笑)

なんとも美味しそうで、読んでいるだけで唾が…(´∀`)
『食堂かたつむり』(だったかな?)を思い出すよ。

私も料理の上手な人になりたいなぁ〜

投稿: ミクリ | 2010年12月 7日 (火) 19時49分

ミクリさん

『食堂かたつむり』! あんなふうに、ひとの心を揺り動かして、あったかい気持ちにさせる料理が
作れたら素敵だね。

食堂かたつむりの店長さんみたいに、食べてくれるひとのことを思いながら心をこめてつくっていれば、
私たちも料理上手になれるかしら・・・!

投稿: どんぐり | 2010年12月 7日 (火) 21時26分

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