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2011年2月20日 (日)

天才になるために必要なこと ~特別展 ダ・ヴィンチ~

昨日、日比谷公園で開催されていた「特別展 ダ・ヴィンチ~モナ・リザ25の秘密」へ行ってきた。夕方18:00だったが、明日が最終日とあって入口には長い長い行列。この展覧会、私が翻訳学校でお世話になっている先生が翻訳をご担当されたということで、ずっと行きたいと思っていたのだ。

「モナ・リザ」や「最後の晩餐」で有名なレオナルド・ダ・ヴィンチ。会場内にはそれらの絵画やその謎を解き明かすための展示に工夫がこらしてあり、とても楽しめるものであった。

しかし何よりも私を驚かせたのは、さまざまなジャンルにわたるダ・ヴィンチの発明品たちと、それを生み出した彼の頭の中(を明らかにしてくれる彼のスケッチ)。

空を飛びたい――その思いから、鳥をとことん研究して羽ばたく仕組みを解き明かし、それを具体的な機械としてデザインしていく。手のひらサイズの小さなノートに緻密に描きこまれたそのスケッチと文字を見ていると、尋常ではないダ・ヴィンチの集中力やのめり込み具合がひしひしと伝わって来る。またダ・ヴィンチは、他人には内容がわからないように独自の逆さ文字を使用していたのだというのだから、本当に大切に大切に自分のなかだけであたためていきたいと思っていたのであろう。

空を飛ぶための機械をはじめ、自動演奏式太鼓や移動式ピアノのようなユーモアあふれる楽器、時計、潜水服や戦車・・・などなど生活に必要なものから軍事関係のものまで、ダ・ヴィンチの幅広い発想力には驚くばかりであった。

*

会場を出た友人と私は、歩きながら、天才ダ・ヴィンチについて語り合った。そこで出てきたひとつの結論。

天才といわれる人がもっている一番のもの――それは「執着」である。

空を飛びたい、そう思ったらとにかく鳥をとことんまで追究する。鳥と同じこの羽さえあれば、人間だって必ず空を飛べる。そう固く信じて、どこまでもどこまでも執着したダ・ヴィンチ。

私だって、幼いころから大人になった今でもずっと、空を飛びたいという思いを持ち続けている。風の強い日に傘をさしながらすこしだけ体の浮く感じを味わい、「もしかしたら飛べるかも」と思ってわくわくしたり、実際にひとり長野の山へ出かけて行ってパラグライダーを体験してみたりしたこともある。でも、ダ・ヴィンチのようにとことんまで追究したことはない。

きっと、ここの違いなのだ。私には、「執着」が足りないのだ。

私はいま、翻訳の勉強をしている。翻訳の天才になるためには「執着」が必要なのだ。どこまでもどこまでも追究するためには、膨大な量をこなすこと、そしてそのための膨大な時間が必要なのだ。

以前、翻訳者の方がこんなお話をしてくださった。量をこなすことで見えてくるものがある、ということ。短期間に大量の翻訳をこなさなければならない時期があり、毎日追われるように仕事をしていた。それは非日常とも思われるほどの状況であったが、でも、それでも翻訳から目をそむけず必死で取り組み続けていたら――それを乗り越えたとき、これまでとは違う境地に達したのだという。

天才ダ・ヴィンチの「執着」と、この翻訳者さんの話はつながっている。そうか、そういうことだったのだ。私はおそらくまだ、この翻訳者さんの1%にも及ばないくらいしか翻訳をしていないし、気合いもそれくらいしかない。だからこれから、今の100倍の量と時間と気合いで、訳文を逆さ文字で書けるくらいの意気込みで翻訳に取り組んでいこう。

このダ・ヴィンチ展で、ものすごく大きなものを得ることができた。

そもそも、英語と日本語をつなぐ先生の翻訳がなければ、このダ・ヴィンチ展はまったく成り立たなかったのである。先生、とっても楽しめました! ありがとうございました。

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