« 天才になるために必要なこと ~特別展 ダ・ヴィンチ~ | トップページ | 春を感じる 氷がとけだす *足もとの小さな花と愛の言葉* »

2011年2月23日 (水)

霜のしたに眠る春を待ちながら

朝、いつものように家を出て最寄り駅までの20分弱の道のりを歩いていく。最近、昼間はぽかぽかであたたかい日がつづいているが、それでも朝は冷え込んでいる。きょうも顔に当たる空気はひんやりとつめたい。

いつも通る道の途中に、ひとつ、広い畑がある。きょうはそのいちめんが真っ白。霜だ。考えてみると、こんな霜の風景を見るのはこの冬はじめてのような気がした。いままで霜がおりていなかったということか・・・いやそんなはずはない。きょうよりももっともっと寒い日はたくさんあったはずだ。毎日通る道なのに、そしてとてもひらけたところに広くひろがる畑で目に入らないはずはないのに、私は何を見て歩いていたのだろう。

真っ白な霜に覆いつくされた黒い土(いまは野菜は植わっていないから)。その表面は、朝の光に照らされてキラキラキラキラ光っていた。冷え込んだ冬の厳しさが、ふれれば痛い冬のつらさが、こんなにも美しく輝いているなんて。

その霜のしたには、いまにもとけて流れだしそうなあたたかい春が隠れている。いつかやって来るやさしい春が、冬の厳しさを解き放つ。冬だって、それがわかっているから、どんなにつらくて厳しくとも、こんなにキラキラと輝いていられるのかもしれない。

***

ふるさと   室生犀星

雪あたたかくとけにけり
しとしとしとと融けゆけり
ひとりつつしみふかく
やはらかく
木の芽に息をふきかけり
もえよ
木の芽のうすみどり
もえよ
木の芽のうすみどり

『愛の詩集 室生犀星詩集』 角川文庫 より

***

冬は、こんなにもやさしく解き放たれていくのだ。やわらかな春が、しずかにしずかに土の中から、木の枝から、顔を出す。

たとえいちめんが霜に覆い尽くされていようとも、深い雪に埋もれていようとも、体じゅうが吹雪にさらされていようとも、春は、いつか必ず訪れる。流れおちる涙が大きなつららや水たまりをつくり、それがコチコチに凍ったとしても、やがてあたたかな日なたにふれて融けていくはず。

ここ数日なんだか調子がよくなくて(だからきっと、いつもは空を見上げて歩くのにきょうは下を向いて歩いていたから霜を見つけたのかな)、でもきょうも一日乗り切って、朝とおなじ道を歩いていたとき。

『河津桜が咲いていたよ!』

友人からメールが届いた。一足先に春を感じられる、早咲きの桜。一行だけの、たったこれだけの知らせが、凍りついてちょっぴり苦しくなっていた私の心にあたたかな灯をともした。春は、いつか必ずやってくる。心を覆っているコチコチの氷を少しずつ少しずつとかし、そのなかに眠るたくさんの花を目覚めさせ、明るい色に染め上げてくれるはず。

|
|

« 天才になるために必要なこと ~特別展 ダ・ヴィンチ~ | トップページ | 春を感じる 氷がとけだす *足もとの小さな花と愛の言葉* »

日々のこと」カテゴリの記事

」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1423813/38989744

この記事へのトラックバック一覧です: 霜のしたに眠る春を待ちながら:

« 天才になるために必要なこと ~特別展 ダ・ヴィンチ~ | トップページ | 春を感じる 氷がとけだす *足もとの小さな花と愛の言葉* »