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2011年3月 3日 (木)

ひなまつり、菱餅に春を思う

時々、心のなかにある美しくない部分が一気に喉元までこみあげてきて、とても苦しめられることがある。こんなこと、思ってはいけない。自分はなんてひどいやつなんだろう・・・汚い醜い自分に気づいてものすごく嫌な気持ちになる。

他人を憎むことよりも、自分を憎むことのほうが苦しいのかもしれない。だって、自分が一番かわいいから。でもこういうふうに言うと、自分を正当化しているような気もしてまたまた嫌な気持ちになる。ああ本当に、片栗粉を入れ過ぎてどろどろになった大きな塊が、胃の中で消化できずにとどまっているみたい。

一生修行しても足りない。こういう感情――極悪人の私――とひたすら向き合っていくしかないのかな。いつも心穏やかに、やわらかなスポンジのように何もかも受けとめていけたらと思っている。でも、そんなことできやしない。時にはくずをまきちらしながら暴れてしまうのだ。

***

 スイッチ   谷川俊太郎

だまってればもう?
くちがぱくぱくしてるだけだよ
こえがのどからでてくるだけだよ
ことばがぼろぼろこぼれるだけだよ
しゃべっているのはあんたじゃないよ
あんたのかおしたおにんぎょうだよ
あたまのなかでまわってるのは
そこらでうってるろくおんてーぷ
はっきしいってうるさいだけさ
なんどもきいた ただしいいけんを
あいもかわらずくりかえしている
だまってればもう?
じぶんのからだでかんじたいんだ
じぶんのこころでかんがえたいんだ
まちがえたってこわくない
あんたはわたしのまえにいるけど
なんだかてれびでみているみたい
けしちゃいたいけどすいっちがない

『谷川俊太郎詩集 いしっころ』岩崎書店 より

***

どろどろの心を持っているときはきっと、その感情がまわりの人にも伝わってしまっているに違いない。はだかの心で生きていくことは、なんて難しいことなんだろう。いろいろと着飾っているほうが楽なこともあるし、そうしたほうがその場がうまくおさまることだってある。大人社会のなかでは、そうすることのほうが正しい、そうするべきだということが暗黙のうちに決まってしまっているのかもしれない。そうすることで誰かを救えるのなら、自分を押し殺してでもそうしたほうがいい場合もたくさんある。でも、そうすればするほど、それを無視できない自分の良心がブレーキをかけては心をどこまでも苦しめる。

・・・いけない、いけない、タイトルもしっかり決めて、今日はひなまつりの話題を書くつもりだったのに! もう十分長くなってしまったけれど、じゃあここからほんの少しだけ。

*

仕事帰りに区立図書館に寄ったら、カウンターに本物のひな人形が飾ってあった。お内裏さまとおひなさま。ぽっちゃりとした丸顔に、肩の下まであるおろした髪(おふたりとも)。あまりにかわいくってすぐそばで飽きるまで眺めていたかったけれどそれでは怪しい人物になってしまうので、貸し借りに並ぶあいだ(ほんの数秒だった)目を離さずにうっとりと眺めた。昔は家でひとり、飽きるまで眺めていたもんなぁ。五人囃子がとびきり好きだった。

児童書コーナーにある子ども新聞を読んでいたら菱餅の色の意味が載っていた。(上から順に)赤は桃の花で、厄除けの意味もある。白は、穢れをとりはらう純白の雪。緑は新芽。今日はまた空気が冷たかったけど、こんな寒さとぽかぽか陽気を繰り返しながら、この不安定さを乗り越えながら、やがて強い新芽が顔を出し木々がピンク色に染められていくに違いない。

こうやって春を待つうきうきって楽しいね!

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コメント

菱餅の色の由来、初めて知りました。春を想い、冬の間に体や心の中に留まっていた穢れを洗い流すんですね。

冬はどうしても重苦しいものが胸につかえてしまうのかな。季節が変わっただけですべてを解決してくれるわけではないのでしょうが、暖かくなって、彩りゆたかなものを眺めていく中で、これから少しずつでもいいことに出会えますように^^

ってどんぐりさんのお悩みなんてまったく分かっていないのですが…。私がここしばらく感じていることと近いように(勝手に)思ったので、ついコメントしてしまいました^^;

投稿: くまぼぼ | 2011年3月 4日 (金) 17時53分

くまぼぼさん、

冬の重苦しさ・・・そうかもしれませんね。だって外は寒いから、内に内にと・・・どうしても気持ちが内向きになってしまうのかもしれない。でも、そうそう! 暖かい空気にふれ彩りゆたかなものに囲まれているうちに、きっと自ら外に這い出したくなって、いいことにも出会えるはず。

そしていつかの春には必ず、自分もその一部となって元気な花を咲かせられると思っています。

あったかい気持ちにさせてくれるくまぼぼさんの春の心をもらって、とても嬉しかったです。ありがとうございました!

投稿: どんぐり | 2011年3月 4日 (金) 21時42分

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