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2011年3月 2日 (水)

くちびるにあめんぼ、足もとにヒル

今日の夕方、職場を出て最寄り駅まで歩いていたとき。

私のくちびるに、突然あめんぼが貼りついてきた。
ほそ~い糸のような、でも水の上をすべるしっかりとした数本の長い足。それが私のくちびるをしっかりととらえた。

と、思った。

あまり勢いよくやるとあめんぼがつぶれて手とくちびるに跡を残しそうだから、ゆっくり、おそるおそる自分のくちびるに手をやってみる。私の手にふれたもの、それは――。

やはりあめんぼ・・・ではなく、マフラーの端の細いひらひら(フリンジ)だった。

そう、だよね。よく考えてみればわかることなのだ。ビルに囲まれた都会の夜の帰り道、ひとりの女性のくちびるに突然あめんぼが食らいつくなんて、絶対に、あり得ない。あるはずがない。でもあの感触は、確かに、確かにあめんぼだった(まだ言うか!)。

時々こんなふうに、どう考えてもあり得ないようなことを、あると信じこんでしまうことがある。

「足もとにヒル」も、その例だ。

なんということもない数年前のある日のこと。

朝、いつものように布団の中で目を覚ました。「ん? なんだろうこの感触・・・」 両足の足首のあたりになにかねっちょりとしたものが貼りついている。両足を動かしてその部分を探り、はがそうと試みるがなかなかうまくゆかない。何だろうこれは、この感触は――。

「ヒルだ!」

間違いない。これはヒルだ。山や水辺に住んでいて、ヒトの血を吸って止まらなくさせる、あの恐ろしいヒル。黒くて細長くてねばねばするその体が、私のまぶたの裏に映った。これは絶対にヒルに違いない!

と言っても私は、それまでヒルに出会ったことがなかった。どんなものなのかもよくわからない。本のなかのヒルしか知らない。小学生のころの夏の課題図書に登場し、ありありと描かれていたヒルの様子はあまりにも強烈で、小学生の私の頭のなかに強いインパクトを残していた。夏のある日、川遊びをしていた主人公とその仲間たち。いつの間にか彼らの海水パンツのなかにヒルが侵入し血を吸ったという場面だ。

ヒルってどんな生き物なのだろう。黒くてつやつやで、触った感触はねちょねちょで…。こわいと思う反面、ヒルという生き物を想像すればするほど、それはあこがれのような気持ちに変わっていった。もうずっと何年も、私はヒルに思いを馳せていた。

やっと出会えたヒル! ヒルよ、おまえはどんな姿をしているの。

すでにたっぷりと血を吸われてしまったあとだろうか・・・。
こわごわ布団をめくり上げ足もとを確認する。そして私が目にしたもの、それは――。

湿布だった。なんの変哲もない真っ白い湿布。ぐにゃりとしておかしな形になりながらも必死で足もとにへばりつく2枚の湿布。

そういえば昨晩、足に湿布を貼って床に就いたのだった。「足がだるいときは湿布を貼って寝るといいよ。足が軽くなるで」 母のすすめだった。

笑っちゃうよね、本当に。どうしてどうして、ヒルがここにいるんだい。
どうしてどうして、私はこんなにもおバカなのかしら。  

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