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2011年8月 5日 (金)

人生の魔法

『人は誰でも魔法を一つ持っている』

ある雑誌に、こんな言葉が紹介されていた。『魔女の宅急便』の原作者である角野栄子さんの言葉だ。

記事には、以下のようなことが書かれていた(内容を思い出して私がまとめたものです)。

「魔法というのは、『自分の好きなこと』。どれだけ繰り返しても飽きないくらいに好きなこと。空を飛んだり姿を消したりすることはできなくても、自分の好きなことで生きられればそれは魔法になる。その魔法に支えられていきいきと輝いて生きていける。その魔法は、早くに見つかる人もいるし、何年もかかる人もいるかもしれないけれど」

角野栄子さんの持っている魔法は、そう、『書くこと』だ。

「書くことがとにかく好き。でも、何かを伝えようとか意味のあることを書こうとはしない。自分のなかからふと飛び出してくるものや目に浮かんだ風景を言葉にしているような感じで書いている。そうやって出来上がった本のなかの世界を楽しんでいただけたら嬉しい」――そんなことが書かれていた。

『書くこと』が魔法・・・

私の心の中で何かがはじけた。

あぁ、私もだ! 私もおんなじ!!

私が翻訳を勉強したいと思ったきっかけはずばり、「書くこと」だ。書きたい。日本語を書きたい。書くことが好き。翻訳者への道のりはそこから始まった。

まだ本物の翻訳者になったわけではないから、しっかりと魔法にかかっている状態とは言えない。いまはまだ、魔法にかかりたい対象のものを見つけて、かかることができるようもがいているにすぎない。

大学を卒業してからいくつかの仕事を経験した(はずかしくていくつなのかは言えない)。どれもこれも、今度こそは魔法にかかりたいと思って必死でやっていたけど、残念ながらかかりきることができなかった。

今度こその今度こそは絶対に。翻訳への一歩は、そうやって踏み出された。

*

「俺、マジでサッカーすきなんすよ」

けさ、じっくりと見る余裕はないが朝の習慣でつけているテレビから、私の耳に飛び込んできた言葉。

昨日亡くなった松田直樹選手の言葉だ。

画面には、松田選手の笑顔。

それを見た瞬間に、思った。

――この人は、しっかりと魔法にかかっている。魔法の世界に入り込んでいる。

魔法にかかっている人の眼差しはものすごく強い。

ファンであるわけではなくサッカーにも詳しくないけれど、このひと言と、ほんの少しだけど松田選手が作ってきた足跡やサッカーに対する思いを知り、この人は心からサッカーを愛しているのだ、ということだけはとてもよくわかった。

「マジで、もっとサッカーやりたいです」

とても遠い存在である私が言うのも、とは思うけれど、本当に、その人の分まで生きたい、生きなければといま強く思う。

ようやく見つけたたったひとつの魔法に、今度こそ、しっかりとかかることができるように。「マジで翻訳好きなんです。マジで、もっと翻訳やりたいです」。心からそう言えるように。

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