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2011年9月17日 (土)

キセキのクスリ

今日は、こちらのがん関連セミナーへ行ってきた。

今日のテーマは、肺がん。

肺がんの治療法や薬剤について、講師の方々がわかりやすくお話してくださったあと、Q&A・トークセッションに移った。

今日の参加者のうち、半数以上は患者さんご本人またはその家族の方々である。現在治療中の患者さんから、「臨床試験には参加すべきでしょうか」という質問が出された。

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薬が開発されるまでには、長い長い年月がかかる。その薬の安全性や副作用の種類や程度、有効性や投与量・投与方法などをみるために、実際ヒトに投与する臨床試験が、長い時間をかけて実施される。

『医薬品クライシス』(佐藤健太郎/新潮新書)によれば、

「多くの場合、プロジェクトの開始からトータルで15年ほどの期間を要するのが普通だ。幼稚園児が成人するほどの歳月をかけて、候補化合物はようやく医薬というゴールへと到達する」。

また、「世に出た一つの新薬の陰には、何百、何千という失敗に終わったプロジェクトがある」のだという。

(この本を読んで、創薬がどれほど難しいことであるかを知りました)。

以前私も、もし機会があるのなら臨床試験に参加してみたいと思ったことがある。私は、20代前半ころから、ある症状に悩まされていた。それは3年ごとくらいの間隔で、現れたり隠れたりを繰り返していたのだった(いまはもう長いこと隠れていて、まったく平気なのですが)。

そのころはまだその症状に対する即効性のある薬剤が開発されておらず、予防的に調子を整える効果のある薬を処方され、服用していた。

でも残念ながらその薬は私には合わなかった。しかたなく服用をやめ、その症状とつきあっていくしかなかった。

ところが、いまから3年ほど前のこと、即効性のある薬が承認されたというニュースを耳にした。素晴らしい! これでもう、あの苦しみから解放される。希望の光! ・・・と思ったら、それは男性にしか認められなかったとのこと。うぅ・・・くやしい。

だからその時、思ったのだ。そういう機会があったら、私もそのひとりとして試験に参加したい。いつか絶対に、薬が商品化されてほしい、と。

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回想が長くなったが、先ほどの「臨床試験に参加すべきでしょうか」の質問に対して、先生はこう答えた。

「『自分のために』というのであれば、やめてください。臨床試験は『将来のため』のもの。自分の治療のためのものではありません。効果があるかどうかわかりませんし、副作用にも耐えなければならないかもしれない。それをしっかり受け入れられなければ、やめたほうがいいです」

いま飲んでいる薬が、自分にとってどれだけありがたいものなのか。今日、先生のこの言葉を聞いてあらためて、ひと粒の錠剤や小さな袋に入った粉薬に感謝せねばと思った。小学4年生の夏、肺炎にかかり40℃近くの高熱を出した時のこと。病院から帰って抗生物質を飲んだとたん、熱が下がり驚くほど体が楽になった感覚は、いまでもはっきりと覚えている。

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