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2012年3月 9日 (金)

春へ

ぽかぽかと昼間の陽射しが暖かく感じられる日があったかと思えば、冷たい雨と空気に凍える思いをする日もある。

春に向かう天気は、いつも不安定だ。

そんな空模様がつづくほんの数日前のこと、あまりにも冷たく悲しい話を聞かされてひどく沈み込んでしまう日があった。あれこれと思いをめぐらすほどに、何を支えにして、どこに向かって歩いていけばいいのかわからなくさえなりそうになった。でも、何が起ころうとも、何もかもを受けとめて前を向いて生きていかなければならない。覚悟しなければならない。そうも思った。

その翌日、それとは反対に、とても暖かい気持ちにさせてくれる思いがけない言葉を聞かされた。近すぎて見えなかった。気づくことができなかった。私が少しばかり沈み込むよりもずっと大変な思いをしているはずなのに、大切なものを守ろうとして自分を盾に頑張っていてくれる。私のこれから歩く道を、歩きやすいようにしようとしていてくれる。そして、その冷たく悲しい出来事のなかにも実はたしかに暖かいものが含まれているということを、そっと教えてくれた。

真冬の寒さのなかふいに差しこんできた春の陽射しが、私をじわじわとあたためていく。お風呂に入っても、布団に入っても、涙が止まらなかった。

ずっと前から思っていた。こちこちに凍りついたその氷はあまりにも分厚く、融かしきることなんてできっこないのだと。

でも、たとえそうであっても、融かそうとすることならできる。自分が春の陽射しになって、あたためようとすることはできる。寒くなったり少し寒さがゆるんだり、どこまでも不安定だけれど、そんなことを繰り返しながら春は静かにやってくるのだ。春の暖かさはいつか、私たちの足もとに小さな花の明かりを灯し、頭上には嬉しそうにほほえむピンクの花を咲かせてくれるのだから。

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