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2012年4月

2012年4月28日 (土)

「病理」って?(日本病理学会 公開講座のお話を聞いて)

第101回 日本病理学会総会 市民公開講座へ行ってきた。現場でご活躍されている4名の先生方のお話とパネルディスカッション。とてもよかったです。

テーマは「我が国における最先端がん治療」。
診断・治療のキーワードは、「個別化」と「低侵襲」ということでした。

日本病理学会の公開講座であるので、「病理学」に関するお話が満載でした。

「病理」という言葉は、ふだんの生活では私にとってほとんどなじみがないものだ。「病気」や「病院」、「病状」や「病的な表情」などという言葉にはまったく違和感を感じないのに、「病理」ときた途端、理解しがたくとても難しいものに思える。

医薬の英文を日本語に訳すとき、「病理」という言葉を使うのがふさわしいと思われる文章がたびたび登場する。「病理学的に」「病理学的検査」・・・そのときは、文章のなかにある「病理」であるし、前後の文章の流れから意味をつかんだうえで「病理」という言葉を使っているのだけど、たとえば今日の講座の冒頭で司会者の方から「病理学ってなんでしょうか」と問いかけられたとき、その顔つきはぼんやりとしか浮かんでこず、情けないことに言葉できちんと定義することができなかった。

「病理学」とは、病気の成り立ちやふるまいを解明していこうとする学問。検体を調べ、治療に役立てようとするものである(と、教えてもらいました)。

昔、まだ病理診断がなかったころは、わるさをしているその存在が一体何であるのかわからないまま、「とにかく取り去る」ことが治療方法だったのだそうです。そうするしかなかったのだ。

それを考えると、病理学ってすごい! と思います。

細胞や組織を観察し、それがどういうものなのかを知る。良性なのか悪性なのか。大きさ、組織型、転移はあるのかどうか。
それをふまえて、次にどんな治療を実施するのかを決めるのだ。○○がんの○期(←進行度)の人にはこの治療を、というわけではなく、患者さんごとに実施できる治療は異なることになる。がん細胞はとても多彩で複雑で、場所や時期により性格も異なるものなのだそうです。

「病理医」(外科医、内科医、歯科医などの言葉はなじみがあるけど・・・)と呼ばれる方が、こんなふうにがんを観察し、詳細かつ個別的な病理診断を下しているのだ。私にとって病院の先生と言えばほとんど、診察のときに出会うただ一人の先生というイメージだ。風邪など軽い症状の病気であればそのイメージで足りるわけだけど、重い病気にかかったり、健康診断を受けたりするときなどに検体を使用するさまざまな検査をした場合、見えないところで病理医の方がご活躍されているのだ。

患者と直に対面する医師をはじめ、外科医、内科医、画像診断医そして病理医などが集まってその患者についてじっくり話し合い、その人の今後の治療を検討していくのだそうです。

(長くなっていますが)ここまでが、ひとつめのキーワード「個別化」についてです。

*

もうひとつのキーワードが、「低侵襲(患者への負担が少ない治療)」。

最先端の治療法には驚くばかりです。

以前は、大きくおなかを切る開腹手術を実施していた。いまでは腹腔鏡手術が進歩したことによって、大きな傷をつくらなくても手術ができるようになった。単孔式腹腔鏡下手術と言って、体にたったひとつの穴をあけるだけですんでしまうようにもなったそうです。それも、工夫してちょうどおへそに隠れるようにすれば、術後も、傷はまったく目立たない。

ほかにも、自然に体に空いている穴(胃や腸や膣)に細くて長い鉗子を挿入し、がんを切り取りひっぱりだす方法(体に傷をつけない手術)や、ロボット(内視鏡手術支援ロボット)による治療、さらに凍結治療(がんを凍らせる→痛みがなくなる→そのうちに手術をする)なんてものもあるそうです。

患者さんのおなかにはやさしい治療の数々。でも、医師にとっては厳しい治療なのだそうです(だって、これまでは直におなかを見て手術できていたのに、テレビ画面を見て、しかもひとつの穴から道具を通して自由がききにくいなか、がんを取り去らなくてはいけなくなったから)。

*

お話をしてくださった4名の先生はそれぞれ、乳腺外科、一般・消化器外科学、病理学分野、血液腫瘍科の方々。ユーモアを交えながら、私たちにわかりやすいように噛み砕いてお話をしてくださいました。医薬翻訳とつながる部分が多くあり、あの文章はこのことを言っていたのだと、イメージがぱぁーっと目の前に広がるようでした。実際に体験したわけではないからまだ弱いとはいえ、イメージがあるのとないのとではまるで違う。ふわふわ漂っていたものを、手でつかんだときのような。スナップ式のボタンを、パチン! といい音をたててはめたときのような感覚を、今日は何度も感じることができました。

とっても充実した2時間の講座の最後に、司会者(子宮がんを克服された女性)がこうおっしゃいました。

「ぜひ今日のお話を、病理医の先生ってどんなことをしているのかを、だれか3人に伝えてください。知ったことを、広めてください」

だから、忘れないうちに書きました。長くなってしまったけれど、だれか3人の人に読んでいただけるといいなと思います。

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2012年4月27日 (金)

春の連休

「連休だね。どんぐりさんはどう過ごすの?」

職場仲間が問いかけてきた。

えーっと・・・それほど特別なことはしないですねぇ。最初の3日間のほうは、ふるさとから友人が遊びに来るので一緒に東京めぐりなどする予定だけど、あとの4日間は、誘われもせずお誘いもせず、特に予定を入れていないのですよ。

きっと、旅行やお出かけなどをされるだろうなと(そういうイメージの)彼女に同じ質問を返すと、意外にもおうちでゆっくりされるのだという。やりたいことの一番は、掃除なのだと。そう、私もそう思う!

小さなお子さま2人のパパである男性にも同じことを尋ねると、どこへ行くかは決めてないけどきっとどこかへ出かけるのだというお返事。そうだよね、ファミリーのゴールデンウィークと言えば、お出かけ! 小学生時代のことを思い出して(大渋滞で遊園地にたどりつけなかったこともあった・・・)懐かしくなりました。

連休中、やろうと考えていることは山ほどある。

あしたからの3日間は、その友人との散歩や行きたいセミナーがあるのでそれに参加するなど、お出かけ中心で過ごすのだろうな。

あとの4日間でやりたいこととは・・・。
かねてからやろうやろうと思っていたことが積もり積もってしまって、それを一気に消化したいということなのですがね。

やりたいことその1、洗濯

年末にやろうとしたカーテンの洗濯。カーテンを洗った日は、乾かすためにずっと窓をあけておかなければならない、ということに気づいて先延ばしにしていたのだ。

それから、冬物の衣類。コートなどの大物のおうちクリーニング。専用の洗剤を入れて洗濯機を回してしまうだけのことなのに、なかなか気が進まなかった。

その2、整理整頓

春・夏もの衣類よりも、実はまだ分厚い衣類の方が取り出しやすい位置にあるのだ。すばやく、衣替えをしなくちゃな。

その3、パソコンを見に行く

いままさに使用しているパソコンの具合が、ここのところずっとよくない。うまく起動せず、一度ボタンで電源を切り、再び電源を入れ、問題を調査し、復元し、ようやく起動・・・ということが増えてきた。いよいよ本格的に電源が入らなくなるのではと思いまして。

そのほかには、

本を読みたい(本棚でずっと私に読まれることを待っている本がたくさん。うちの母が、自分が読み終わった本を私に送ってくれるのですが、それもたくさん)。翻訳の勉強をしたい(いつものことだけど、いつも課題をすることで精一杯になりがちなので、それ以上のことを)。勉強関係の整理整頓(これができていないから、日々、目の前のことに追われて終わっちゃうんだ、きっと)。本を探しに、大型書店や古本屋さんにも行きたい。何か、お料理もしたい。新しく植物の種をまきたい。そうだ、お手紙プロジェクトというものもやってみようと思ってたんだ。

坐禅会に参加してみたい、サイクリングに行きたい、インカ帝国展に行きたい、などなどお出かけ系もいろいろ考えていたのだけど、どうしようかな。

やりたいこと、もっといろいろ細かく考えていたような気もするのだけど・・・、でも

出かけるにしても、お家でこまごまとしたことするにしても、いい時間を過ごせそうで、楽しみです。

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2012年4月26日 (木)

ドライヤーを買いに行く

けさ、ドライヤーから火花が出た。

実は2,3日前から、いつかはそんなことも起こるだろうと思わせる兆しがあった。
使用中、急に勢いが衰えたり止まってしまったり。それでもまた動きだすのをいいことにそのまま使い続けていたところ、けさになってついにドライヤーさんの堪忍袋の緒が切れてしまったようだ。

さすがにおそろしくなって、すぐさま使用禁止にした。コンセントを抜いたから大丈夫のはずだけど、もしかしてまだ内部で火が燃え続けていたら・・・私が仕事に行っているうちに大火事が起こったら・・・なんて心配でたまらなくなり、念のため、もう二度とコンセントを差し込むこともないドライヤーの内側を念入りに水ですすぐ。

連休にでも新しいのを買いに行こう。いや、でも考えてみれば、それまでのあいだが困るよなぁ。ドライヤーがなくては、やんちゃな私の髪の毛を落ち着かせることなんてできるはずがない。手に入るまで、あちこち元気よく飛び跳ねたヘアスタイルで出勤するのも周りに失礼だしみっともない。もっとも、くるりんとまとまったどんぐりヘアじゃなきゃどんぐりの私とは言えない(何言ってんだか・・・)。

なんとか今日中に手に入れたい。最近居残り続きだけど、今日ばかりは仕事を早めに切り上げ途中下車して電気屋さんに駆け込んだ。

*

「家事家電」売り場のフロアに行く。ドライヤーに似ている(と思った)扇風機売り場の辺りを探してみるが、見つからない。店員さんに助けを求めてみれば、ドライヤーさんの居場所、正解は「ビューティー家電」売り場だったのでした(こんなカテゴリー、初めて知った)。

  マイナスイオン× ナノイオン×
  マイナスイオン○ ナノイオン×

ワット数などとともにそれぞれの商品に記されていたマイナスイオン&ナノイオン情報。

えーっと・・・。
マイナスイオンやらナノイオンやらいうものがそもそも何なのか、髪にどんな効果をもたらしてくれるのか、わからない。

そこで、近くの店員さんに尋ねてみることに。おそらく20代前半、ロングヘアでそれまたビューティフルな女性である。

どちらのイオンも髪に水分を与えてくれるものだという。マイナスイオンは髪の外側だけ、ナノイオンは髪の内側まで浸透するのだそう。さらに、ナノイオンはマイナスイオンの1000倍もの力があるのだということも教えてくれた。

おぉ、すごいぞナノイオン!

でもね、ナノイオン「○」表示のものは、それもそのはず、やっぱりいいお値段なのです。おやまあびっくり! ひと桁、増えてしまうのです。

それはもう小さなどんぐりみたいに質素な生活をしている私にとって、ドライヤー1本買うのもとても大きな買い物なのです。ナノイオンさまなんて、残念ながらどう考えても手が出せない。

最終的に、ビューティフル店員さんおススメの、マイナスイオンつきお値打ち商品を買いました。

これでもう、ひと安心。

これからは絶対に、少しでも電化製品に異変を感じたらすぐさま使用禁止にするのだと、固く誓ったのでした。

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2012年4月22日 (日)

理化学研究所 一般公開

きのう、「独立行政法人 理化学研究所 一般公開」に行ってきました。

研究所で実施されているさまざまな研究の一端にふれられるとても有意義なイベントでした。

全国各地にある理化学研究所のうち、きのう行った場所は埼玉県和光市にある和光研究所。

朝一番から行ってみようと、9:30に和光市駅で友人と待ち合わせ。そこから特別のシャトルバスに乗り込みました。
バスはぎゅうぎゅう詰め。なかでも、制服姿の中高生さんが目立ち、おしゃべりし合っていてとってもにぎやか。なんだか一緒に修学旅行にでも来たみたいな気分になりました。土曜日だけど、授業の一環だったのでしょうか。それとも、未来の研究者(科学系クラブの仲間たちとか)なのかしら。

到着するとすでに会場は、やっぱり制服姿の団体さんや家族連れや、若者グループからご年配の方までたくさんの来場者でにぎわっていました。

和光研究所は、広大な敷地にたくさんの研究棟が立ち並ぶまるで大学のキャンパスのようなところ。とても自然が豊かで、(もう散ってしまったけれど)ソメイヨシノの桜並木や、いまが盛りの八重桜にも出会うことができ、家から近ければ毎日でもお散歩しに来たいねぇと友人と話しました。

内容はとても盛りだくさん。

物理学、化学、工学、薬学、微生物学、生物学、脳科学、コンピュータ科学、宇宙科学、免疫学、生化学、遺伝学(・・・まだありますが)など多岐にわたる研究分野の一端に、わかりやすく解説されたパネル展示や顕微鏡を使用しての観察、子どもからおとなまで楽しめる体験イベント、講演会など、さまざまなかたちでふれることができます。

専門的であまりにも複雑で、私には理解できないことだらけだけど、ものすごくわくわくするんですね、科学に近づくことは。病気を引き起こす目には見えない小さな小さな体のなかの変化を解明し、治療法を考え出したり薬を作りだしたりするために一生をかけるくらいの気持ちで取り組んでいらっしゃる研究者の方々から直にお話を聞かせていただけることは、この上なく貴重なことなのですね。

「病院での勤務を終えてから、新幹線でここまで通い、研究を進める医師の方もいらっしゃるんですよ」という話を聞いてびっくり。目の前にいる自分の患者をどうにかしなければという思いが、彼をそうさせるのだそうです。費用の面でも、体力の面でも、研究というものはとても厳しく、自分を犠牲にして打ち込みすぎてしまう方々も多くいらっしゃるとのこと。だから、そういうことを頭の隅っこにおいて、ちょっとだけでいい、気持ちだけでいいので応援してくださいねとその研究者の方はおっしゃっていました。

ほんとうだな。病気になって病院に行けば適切な治療を受けられるし薬もいただける。病院にいくほどの不調でなければ、薬局でいつでも手軽に薬を購入でき、症状を緩和させられる。医療によって自分は本当に救われているのだ。

あたりまえのようになっている日常の一部分だけど、ひとつの薬の開発には、研究者の一生が捧げられていると言ってもいいくらいの重みがあるのだ。そのことに感謝するとともに、さらに高度な医療によって、現在病気に立ち向かっているひとたちに新たな光がもたらされることを願ってやまない。

一緒に行ってくださったのは、私と同じ、医薬翻訳学習中の先輩。見学しながら、医薬翻訳の学習とつながる部分も多くあり、疑問やら悩みやらを出しあいながら一日楽しく見学しました。さあ、また勉強頑張ろう~!

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2012年4月16日 (月)

春雨のメロディーを聞きながら 翻訳そぞろ歩き『夏目大さんとゆく江ノ島~鎌倉編』

先週土曜日に、「翻訳そぞろ歩き」というものに参加させてもらった。これは、仕事、学習など何らかの形で翻訳にかかわっているひとたちが集まり、ただただおしゃべりしながら一緒に街を歩くという企画である。

翻訳者になることを夢見て学習を続けている私。2009年の秋、実務&出版翻訳者のイワシさんによってはじめられた「翻訳そぞろ歩き」に私はこれまで数回参加させていただいたのだが、そのたびに「また参加したい!」と思わせてくれる、それはそれは素敵な企画なのだ。

今回は、『夏目大さんとゆく江ノ島~鎌倉編』。翻訳家夏目大先生のご案内で、一日楽しく鎌倉を散策しました。

朝からあいにくの雨だったけど、午後になればきっと雨はやむだろうという願いとともに、予定通り決行されることに。

集合場所である江ノ島までは、私の住居から約2時間半。小旅行気分で十分余裕を持って家を出た、はずだったのですが・・・、
 
思いがけない電車の遅延。それは約5分足らずのものだったのに、次に予定していた特別急行に乗り遅れて調子をくずし、最終的には30分以上遅れて集合場所の片瀬江ノ島駅に到着(遅刻して申し訳ありませんでした)。

天候の具合により江ノ島散歩の計画を変更してすでに新江ノ島水族館に入館していたみなさまと、ようやく合流。あぁよかった~。

夏目先生おすすめの水族館、楽しかったです! 自分も水槽のなかに入っているような感覚で、海の世界を味わいつくしました。一番印象的だったのが、ゴマ粒くらいにおチビちゃんのクラゲ。名前は覚えていないけど(ごめんなさい)、そんなに小ちゃいのにしっかりと、クラゲなのです。ぷわっぷわっと体を精一杯動かして泳いでいました。

素敵なお店で昼食をとったあと、みんなで江ノ電に乗り込み、次の目的地鎌倉へ。

ゴトゴト電車に揺られていると、「これを見てもらわないと、」と、先生が突然、手をワイパーみたいにしてくもった窓ガラスをふきはじめました。

わぁ。海だぁ~~~! 

見れば、小さな江ノ電の車窓いっぱいに大きく広がる雨の日の海。

「私は方向音痴ですが、どちらの側の席にすわれば海を見ることができるのかだけは、ちゃんとわかっているんです」と、夏目先生。今度また天気のいい日に、間違えずにそちら側の席にすわってゆっくり海を眺めてみたいです。

両側に桜の木がずっとつづく参道を、傘をさし大きな水たまりをよけるためにぴょんぴょんと飛び跳ねながら進んでいく。そうしてたどりついたところは、鶴岡八幡宮。長い階段をのぼり、参拝を済ませ、くるりと振り返ってみれば、緑も美しい雨の日の落ち着いた風景が眼下に広がっていました。

*

今日もまた、「翻訳」のつながりで出会うことのできた人たちと一緒に歩き、お話できたことがとてもうれしかったです。いつも感じることは、どの方も本当に、翻訳や翻訳にかかわることが好きなのだということ。熱い思いをもっていらっしゃるということ。そして、ご趣味をはじめ日々の暮らしをとても上手に楽しまれているということ。目を向けられている世界の範囲が広く、とても豊かなものに感じられます。

私も、翻訳に関することはもちろん、もっともっと貪欲に、さまざまなものや人への出会いを求めていきたいなと思いました。世界はうんと広い。その広い世界という入れ物にも収まりきらないくらい、知りつくすことのできないさまざまなものが存在する。

翻訳者として自分の言葉を生み出すってことは――。

本物の翻訳者の方から生み出されるその言葉とはきっと、その人の持っているもの(それまで経験してきたこと。その人の生きざま)すべてなのかもしれないな(大げさかもしれませんが)。自分の目で読み、耳で聞き、話し、感じ、遊び、十分に消化された言葉であってはじめて、使いこなすことができるのだろうな。

テーブルにはマッチの大箱、静かにゆらめくキャンドルの火の光。ほどよく照明がおとされて大正ロマンの香り漂う素敵な雰囲気の喫茶店の隅っこの席からみなさまの顔を眺めながら、そんなことを考えていました。

ナッツにレーズンバターをつまみながら、おしゃれにワインを楽しむ3名の素敵な方たちに囲まれながら、ひとりお子さまみたいにプリンを食べる私(だって何も知らずに座ってしまっただんだもの・・・)。そんな大人の方たちの、味わいのあるとても素敵なお話に耳を傾けながら、そんなことを考えていたのでした。

ぐずついたお天気もまるで晴れて見えてくるみたいに、楽しく鎌倉を案内してくださった夏目先生。

水族館で、常に何十匹(百匹以上かも)もの群れをなして泳ぐイワシの大群を前に、「イワシって、ひとりじゃ泳げないんだ」とつぶやいていらっしゃった主催者、イワシさん。

手間のかかる会計係を自らひきうけて頑張ってくださったKさんとそのまわりの方々。

一緒に歩き、食事をし、楽しい時間を作りだしてくださったみなさま。

本当にありがとうございました!

○●○おまけ○●○

Teru2

(1月と同じパターンですが)

そぞろ歩きの前日につくったてるてるぼうずちゃん、桜模様のワンピース風。

大嵐にならないように頑張っていてくれたね、ありがとう。

決行されて本当によかった!

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2012年4月 9日 (月)

桜の下で

満開の桜を見上げる。

花にさわりたくて手を伸ばしてみるけれど、あと少しのところで、届かない。

透けるようにうすいピンクの花びらがあまりにやさしく愛しく見えて、思わずほおずりしたくなってしまう。

はらはらと舞い落ちる花びらを見ていると、その散り際の桜を思わずぎゅっと、でも壊れてしまわないようにやさしく抱きしめてあげたくなる。

(もっと近づくことができたらいいのに!)

でもほんとうはきっと、桜のほうが、私を抱きしめてくれているのだと思う。

体ごと、あのやさしいピンク色に染め上げられてしまいそうだよ。
やわらかなたくさんの花びらに、包み込まれてしまいそうだよ。

いっそのこと、私も桜になってしまえたらいいのに。

(なんてことを、通勤時に桜を見上げながら考えるわたし)

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2012年4月 8日 (日)

春の散歩 日本民藝館と表参道

今日は、春の散歩の日。

私を連れ出してくださったのは、翻訳者としても女性としても私のあこがれである2人の先輩。この小さなどんぐりの私がそんなお姉さま方と一緒に散歩できるなんてそれだけで嬉しいのに、いろいろ素敵なところばかり案内していただいて、とても楽しい一日になりました。

散歩のメインは、日本民藝館(東京都目黒区)と、表参道ぶらり。陶器屋さん&絵本屋さんを中心に、街歩きを思う存分楽しみました。

スタートしてまず私たちを迎えてくれたのは満開の桜の木と春の陽射し。ほかにも、歩く道々でたくさんの春の花に出会うことができ、「わ、見て見て!」と見つけるたびに、顔にも心にもぱぁーっと明るい花がひらきました。

日本民藝館は、建物のつくりから展示されている作品たちまで何もかもが奥深く、本当に素敵な場所でした。ひとつひとつの作品からは、その一瞬一瞬に魂をこめて作業をしたのだろうということがこちらに迫り来るように、でもやさしく伝わってきました。まるで、作者がこちらに語りかけているみたいに。

そう感じられたのは、そのあとにめぐった何軒かのうつわ屋さんでも同じ。見ているだけでうっとり。いろいろな表情をした素敵な陶器やカトラリーたち。
さまざまな調味料をすくうのに使うための小さな木のスプーンを、5,6本も(もっとたくさんだったかな)手に取り悩んでいる先輩に、「そんなにたくさんの種類の調味料があるのですね(さすが、お料理上手の方だからなぁ)!」と言ったら、「いえ、これちょっとずつ木目とか、模様が違うでしょう?」というお返事。同じものでも、ひとつひとつどこか違っている。違う名前を持ったひとりひとりなのだなぁ~なんて思いました。

「ねえ、どんぐりだって!」絵本のお店で、先輩が、どんぐりが主人公の物語絵本を発見。まぁうれしい! それはそれは、やさしいタッチの絵が素敵な心あたたまるストーリー。一枚ずつページをめくって、ところどころ声に出して読み聞かせてくださる。どんぐりの私、どんぐりでよかったなぁと思いました(うるうる)。

昼食は、有機栽培のお米と野菜を使用した体にやさしいランチ。休憩は、絵本屋さんがお好きな先輩が見つけてくださった、絵本が読めておいしい飲み物とケーキがいただける穴蔵みたいな素敵なカフェへ。

今日一日、立ち寄った場所で、街なかで、たくさんの素敵なものに出会い、たくさんの発見をしました。
風は冷たかったけど、春の陽射しと花々(ほんもののお花と、おふたりのやさしいお姉さんたち)に囲まれ、何もかもがやさしかったとびきり素敵な春の散歩でした。

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2012年4月 6日 (金)

いろとりどり

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ことり

おっとり

ひとり

すもうとり

うっとり

ゆとり

よこどり

いろとりどり

みどり

しりとり

ぽとり

(このほかに思いつきますか・・・?)

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これが何の本にのっていたのかは忘れてしまった(幼年誌か何かの付録だったような気もする)のだけど、幼いころ、上に挙げたような、『とり』のつく言葉を集めたページを眺めるのがとても好きだった。

『ウォーリーを探せ!』という本ほどは細かくないけれど、見開きのページのあちこちに、さまざまな様子の鳥の絵がかかれ、そのそばに言葉が添えられていた(たとえば、まわしをして相撲をとっている鳥たちの絵に、「すもうとり」と言葉が添えられている)。

なかでも私の一番のお気に入りは「いろとりどり」だった。

この言葉のリズムがとても好きで、何度も声に出してその響きを楽しんでいた。

「いろとりどり」

何て素敵な言葉なんだろう!

*   *   *

地面には、小さな青い星のように輝くオオイヌノフグリに、しっとりと落ち着いた紫色のホトケノザ。
黄色い光で明るく照らしてくれるたんぽぽ。
見上げればやさしい桜色。ぽっくりと大きな白い花びらをつける白木蓮も。
あちこちから、緑の芽がぐんぐん伸びる。

こんなふうに、風景がどんどん色づいていく春。

図工の時間に、下書きを終えて絵の具で色塗りを始めたみたいに、風景に一気に色がくわえられていく。にぎやかになっていく。

いろとりどり。

彩りあざやかな美しい季節がやって来た。

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2012年4月 1日 (日)

5年目の終わりと、6年目の始まりに。

4月1日。新年度の始まりだ。

翻訳の勉強をするために都会にやってきて、この3月で丸5年が経過した。

上京前、翻訳とはまったく関係のない仕事をしていた私。あるとき書店で偶然、「あなたも翻訳家になれる!」なんて題名の本を手にとって読んでみたことがきっかけで、生まれてはじめて翻訳というものに興味を持った。翻訳とは何か、どうしたら翻訳者になれるのか。翻訳関係の本を何冊か読んで自分なりに研究したけど、どうやらものすごく厳しい世界であるようだった。そのうえ、自分には語学力も専門知識もない。でも、やってみたかった。文章を書くことが好き、言葉が好き。翻訳をやりたいというただそれだけの思いで、2007年春、ひとり、都会にやってきた。

「10年計画で行ってくるね」周りの人たちには、そう伝えた。当初は出版翻訳をやりたいと思っていたから、両親が生きているうちに訳書1冊、出せたらいいなと思っていた。

でも最初の1年を終えた時点で、実務翻訳に興味が移った。いまでは、両親が生きているうちに、「翻訳者です」と胸を張って言えるような翻訳者になっていたいと思う。

実務翻訳者になろうと考え始めてからも分野が定まらずいろいろとさまよっていたけど、ようやく、いまから2年半前(ちょうど半分の地点ですね)に医薬翻訳者をめざすことに決め、通信講座での学習を開始した。

*

毎週課題を提出すると、先生の手によってきっちりと添削されたものが後日返ってくる。提出できない期間も少しあったけど、2年半、それをずっと繰り返してきた。

郵送でのやり取りだから普段は先生にお会いすることはないのだけど、今年2月の直接講義で、初めてお会いすることができた。

通信講座では、「こんな日本語ありません」、「こういう言い方は絶対にやめてください」などという厳しいお言葉や、A4用紙の半分くらいにわたる大きな×をくださる先生なのですが、お会いしてすぐに、あたたかくてやさしいお人柄であることが伝わってきた。講義中も、私は、先生のユーモアたっぷりのお話に惹きつけられっぱなしだった。

バックグラウンドのない私が医薬翻訳だなんて、とてつもなく無謀な挑戦であることは自覚していたけど、それでもやってみようと思って歩き始めた道。最初は、まったく形にもならない訳文だった。でも、まだまだほど遠いことはわかっているけれど、ほんの少しずつだけど、めざすべきものに近づいていることは確かだ。苦しいけれど、険しいけれど、高い山を一歩ずつのぼっていき、その手ごたえを感じられることはとても楽しい。ものすごくスローペースで何も持っていない私だけど、こんな自分にだって、無理なことではないのだ。

もっともっと、いい日本語を書きたい。もっともっと、日本語の力を磨きたい。

そして、医薬の文章がどんなものか知らなきゃ自分で書けるはずがないから、もっともっと、専門書を読まなきゃいけない。

上京して2年半でやっと、めざす方向が決まった。そこからさらに2年半たったいま、引き続き医薬翻訳者への道を歩んでいくうえで、「この先生の下でやっていきたい」という気持ちがはっきりした。いまあらためて先生の著書を読み返し、その思いをますます強くした。それと同時に、何をしなきゃいけないのか、何をすれば力を伸ばすことができるのかが、やっとわかった。これまでそういうことを考えもせず、目の前にあるものだけを、時間に追われながら何とかこなすことしかできなかった。そのうえ、何が大切なのかを考えようともせず、あれこれまた別のものに手を伸ばそうとしたこともあった。

6年目の始まり。

明確に見えてきた道、進んでいくべき道を、これからしっかりと踏みしめて歩いていこう。

(ウソじゃないよ。4月1日だけど)

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